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イベントの価値は伝わりにくい??
こんな感想を持つのは私だけではないと思います。
そして今、イベントの社会的評価は依然として安値に張り付いたままです。
ある大学の授業で「博覧会は地域の発展に有効か無効か」と言うテーマで討論したところ、9:1で「有効」が圧勝したそうです。しかし、どうやら積極的に「有効」が論証されたのではなく「無効」であることの論証ができなかったことによるようでした。
「なぜイベントをするの?」「一過性のイベントは意味がない」「お祭り騒ぎは嫌い」とイベントを否定する説得力(?)のある言葉は数多くあり、かの愛知万博も開催の数ヶ月前まではメディアを通じて、様々な方が「インターネットが進んだ時代に疑問がある」と説得力のある疑問を投げかけていました。
とはいえ、イベントを生業にする私として、自分の仕事の説明を他人任せにする訳にはいきません。と、一生懸命考えるのですが、なかなか良い言葉が見つかりません。いっそのこと、イベント学会で<イベントの“つぼ”コピー大賞>を作って大枚の懸賞金をかけて募集でもしたい気分です。
そこで、もしそんな大賞ができたときのために、私が考えるコピーをお知らせします。
第1案「イベントは心の公共工事」
イベントは社会が必要とするテーマを掲げそれをいち早く実現するものです。人は日常で多くの人と出会い、話し、暮らしています。しかし、あまり1つのことを一緒にすることは多くありません。これでは、課題の解決力が弱い社会となります。
現代の社会には粘り強さが必要です。しかし、だからといって突然「皆さんで何か一緒にしましょう」と言われても困るわけで、そこでイベントの登場です。
近年、「テーマコミュニティ」という言葉を耳にされると思います。イベントは、まさにこれの塊です。
そのときに社会が必要とするテーマの下には、それを実現する無数の小テーマが存在します。それに関心のある方が集まり、実現していただくことになります。このプロセスは、まさに人と人の繋ぎ直しであり、「心の公共工事」な訳です。 第2案「ITはイベントを越えられない」
現代の社会はIT化でいろいろなことが一瞬でできるようになりました。企画書を作るときにもその効果はてきめんで、一昔前にはきっちり1日必要だったことも、今ではWebサイトをスイスイとサーフィンし、画面をクリックしているうちにアッと言う間にできてしまいます。こんな便利な世の中と思いきや、最近感じるのは寄り道や道草のなさです。知識の寄り道です。
本棚で知りたい情報に行き着くには、あちらこちら手当たり次第に本を手にとって、超スピードで目を通しつづけます。その過程の中でさまざまな情報との出会いがあり、イメージが膨らみ、新しいアイデアが浮かんだことは何度もあります。このような情報との出会いにとても鍛えられたと思っています。
パーソナルコンピュータは、その中にデスクトップがあり、情報が取り出せ、加工でき、ファイルできるのですが、本当のデスクトップとは根本が違います。
それは、人間が動物であることに起因していると思います。人間は進化の過程で生命を維持するには、とても多くの寄り道的情報をもとに判断することがプログラムされているのではないでしょうか。
本を持てばその重さ、手触り、匂いが、文字、絵の情報と同時にフィードバックされます。人と話せば体温、体臭、顔色が話した内容と合わせてフィードバックされます。このような文字や形にならない情報の中に重要な情報が含まれていて、「暗黙知」と定義するそうで、人間がある行動や判断をするときの多くは「暗黙知」に基づいているのだそうです。
イベントはまさにこの「暗黙知」の宝庫であり、この点でITはイベントを越えられないのです。「ハハハハハざまーみろ」であります。 第3案「イベントは目の当たり実験室」
イベントが新しいものを作り出す現場には何度も遭遇しています。イベントは通常の生活や業務と切り離されることがその基本です。したがって、今までとは違うネットワークや進め方ができ、若い人、実績のない人にも「ポン」とチャンスを渡してくれます。そして、「まあ、イベントだからいいか」と普段厳しい会社や街の方々も、許してくれる確率が高くなります。
しかし、凄いのは実際に多くの人の目の前に現れることです。この目の当たりにする強さは何を持っても替えがたい説得力があり、「これいいじゃない」と本業や生活に取り入れられていくのです。「ビジョンというのは絵にかけなければなりません」とは泉眞也さんの言葉ですが、イベントはその絵を越えて実現するのです。これはモーびっくりです。
私は冗談半分で「このイベントは素晴らしい世界を目の当たりにできます。そして、今まで誰も経験したことのない空間と時間を皆さんに提供できますが、とても惜しいことに、それはあまりに素晴らし過ぎて、“絵にもかけない美しさ”なのであります」と言って失笑されています。
取り留めのないことを長々と書きましたが、「イベント雑感」と言うことですので、雑文をご笑読いただけたら幸いです。
■Profile ■
さわだ・ゆうじ
1957年東京生まれ。明治大学建築学科卒業。博覧会デザイナー・プロデューサー。展示演出デザイナー・プロデューサー。(株)SD代表取締役。94年世界リゾート博会場計画。97年山陰・夢みなと博覧会会場演出チーフディレクター。01年山口きらら博プロデューサー。同博山口銀行パビリオンでジャパンエキスポ大賞受賞。国営ひたち海浜公園サインデザイン。モーターショーなど大型イベントの演出デザイン・プロデュース。愛・地球博でも催事ディレクターを担当する。 |
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