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私が、イベント業界に入ったきっかけは、3つか4つの時、できたばかりのロスのディズニーランドに行ったこと。その時に見たシンデレラ城は、今でも心に焼き付いています。卒論は、ディズニーの街オーランド中心にテーマパークについて書きました。
今回の愛知万博「愛・地球博」では、広報プロデューサーを担当させて頂いています。広報担当として、国内はもちろん、海外各地へ出向いて「愛・地球博」の素晴らしさをお伝えすると同時に、海外からの要人のアテンドも担当しています。これまで、数えきれないほどの方をご案内しました。
「愛・地球博」のテーマは環境。世界120カ国が、環境についてのパビリオンを出しています。たとえば、ドミニカは、映像で素晴らしい自然環境を見せています。彼らにとって、自然環境は、貴重な観光資源でもあるわけです。ドイツは、鮫の肌にヒントを得てつくった、水滴をはじく壁など、自然の叡知から学んだ最先端のテクノロジーを展示しています。カメルーンは、アリ塚を真似てつくった、伝統的な民家を展示していました。同じ環境といっても、国によって捉え方が違う。もちろん、個人によっても非常に違います。そうした多元的な問題に、どうやって取り組んでいけばいいのか。それが、地球環境の難しさであり、万博にとっても大きなテーマなのです。
ところで、「愛・地球博」は、いろいろな意味で、歴史に残る万博になるはずです。まず、誘致の時には、これが先進国で行う最後の万博になるだろうと言われていました。これまでの万博は「インフラを整えるため」「都市をつくるため」「再開発のため」といった、何かを残すことが大きな目的でした。発展途上国は、これから都市を発展させようと思っていますから、万博を開催する意義は非常に高い。それに対して、先進諸国は、すでに都市ができあがり、それをもっと快適にするためには、どうすればいいかに悩んでいます。視点が違うわけです。先進国においては、従来型の万博では、その解決が難しくなってきました。
来場者の楽しさも、発展具合によって変わります。日本で比べても、大阪万博と、現在の愛知万博では、まるで違います。高度成長期の大阪万博では、新しい技術、輝かしい未来…。未知の世界を感じることが何よりも楽しかった。だから、技術の粋を集めて採取した月の石が、目玉になるわけです。また、当時は、外国人が珍しく、万博で初めて外国人を見た人が大勢いました。
それに対して、現在の目玉は、地球の歴史に思いを馳せるマンモス。そして、パビリオンでは、最新技術を並べるよりも、出展国のスタッフと集えるところの方が人気が出ます。そうしたパビリオンでは、外国人スタッフを単に見るのではなく、一緒に踊りを踊ったり歌ったり、説明を受けたり、人と人の触れ合いがある。都市化が進むとともに、新しい技術よりも、コミュニケーションが非常に重視されるようになってきたわけです。
このような一つの分岐点に開催された「愛・地球博」では、様々な特色をもっています。まず、「自然の叡智」という一つの共通テーマに沿って、世界中がパビリオンを出展するという試みは、始めてです。キーワードはリデュース、リユース、リサイクルの3
つのR 。万博の跡地に何かを残すのではなく、元に戻る。環境という観点からも、万博という観点からも、これが最大の特徴だと思います。
また、お金をかけないことでも注目されています。運営には、2 万人のボランティアが携わっています。ボランティアが中心になって運営する万博は、始めてです。もちろん、広告費も削られました。テレビCM
、web 制作まで含めて、広告予算は16 億円。私も、PR活動をする中で、色々と苦労をしました。産業振興が伴わない万博やイベントに、国家が巨額の予算を出すことは不可能です。先進国型の地方博やイベントの運営予算をどうするのかは、これからの大きな課題になるでしょう。
それでは、これから、万国博覧会における先進国の役割は、どのように変わっていくのでしょうか? それは、万博が開催される地域に積極的に参加して、模範を示すことです。その典型はカナダ。開催地が決まれば、真っ先に、カナダは手をあげることでも有名です。そして、いつも素晴らしいパビリオンをつくる。それが可能なのは、自然、歴史、食生活をはじめ、自分の国のベストを知り尽くしているからです。それは、カナダの文化を世界にPR
する役割も果たします。
日本もパビリオンを通じて、世界に、日本をPR していくためには、まず、日本のべストを知ることから始めるべきだと思います。ところが、日本の大使館には、日本の文化や自然を、専門的な立場から海外に紹介する文化担当官がいません。ですから、海外に紹介すべき文化を知っている専門家がいないわけです。日本が、未来の万博に貢献していくための第一歩は、日本文化の魅力を、海外にきちんと紹介できるシステムの構築ではないでしょうか。
■Profile ■
マリ・クリスティーヌ
父親の仕事に伴い4歳まで日本で暮らし、その後ドイツ、アメリカ、イラン、タイ等諸外国で生活。単身帰国後、上智大学国際学部比較文化学科卒業。この頃スカウトがきっかけで芸能界へ。94年東京工業大学大学院理工学研究科社会工学専攻修士課程修了。今現在も都市工学を学んでいる。生まれながらの環境から学んだ幅広い視点から国際会議・式典等の司会、講演活動を多数こなす。国連ハビタット親善大使も務める傍ら、ボランティア活動にも積極的に参加している。 |
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