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今、私はイベント学会と日本イベント産業振興協会という二つの組織に片足ずつ突っ込み、結局、両足ともイベント関係にドップリ漬かった日々を送っている。
イベント学会には設立準備段階から関わり、現在理事を、そして協会の方は、今年の3月に博報堂から出向し、現在、調査研究本部長をしている。
そこで、この半年に感じたこと、考えたことを雑感として記し、イベント学会各位の皆様方にとって恰好の餌食、論争の火種を撒き散らしたいと思っている。
まずは、ソモソモから始まる。そもそもイベント学会設立以降、これまでイベントについてまともな論争を戦わせた会員がどのくらいいたのだろうか。口角泡を飛ばすシーンをついぞ見たことがない。学会とは名ばかり、というと言い過ぎであろうか。自戒をこめイベント学会創設の頃の情熱、今いずこに?である。
実はこのような疑問を持つに至ったのは、理由がある。学会と協会のいずれもが今、設立以来の太きな曲がり角にさしかかっている。そのため内部の関係者の間では、毎日のように論争が繰り返されている。そして議論が白熱、盛り上がってくると必ず出る言葉、「こういったことを、本当はもっとちやんとやらなくちや駄目なんだよね」
例えば、「イベントなんて言葉自体やめたら?」といった極端な意見から「博覧会なんてイベントのほんの一部に過ぎない。未だに博覧会からスタートするイベント論が大手を振っているのはおかしいよな」といった挑発的意見も飛び出してくる。
このように私の周りには、自問自答を含め、イベントってソモソモ何なんだ? ジャパンエキスポ無き後の協会の存続意義は? イベント学会は誰のためにあるのか? 研究大会の参加率の低さは何なんだ? 等々、次から次へと疑問、質問、意見、感想、雑感が飛び交う環境が生まれている。イベント学会は設立5周年、イベント産業振興協会は設立15周年、いずれも節目である。イベントの日常化、日常のイベント化が進む中で、もう一度、それぞれの組織設立の原点に立ち返る必要があるのかもしれない。
私自身は、近頃「川下発想からのイベント」に注目している。国や企業の思惑から離れた、一個人の楽しみや好奇心、あるいは使命感から発展し、やがてはグループ、組織、企業、自治体、国家、世界を巻き込み結び付けていくイベントに期待したい。これまでの行政を中心としたインフラ整備や企業利益を目的とした「川上発想からのイベント」に人々は、辟易しはじめている。「もういいかい?」「もういいよ!」といった声に耳を傾ける時代ではないのか。個人がワクワク・ドキドキできないイベントはやめた方がいい。
次に注目しているのは「イベントのソリューション機能」である。地球環境問題、コンピューターウィルス、エイズやSARS等、保健衛生医療に関わる問題のように全人類の叡智を集めなければ解決できないことがある。専門家集団の叡智が必要な課題、あるいはコラボレーションによって初めて解決方法が見つかる問題、そのような知恵の集約をスピーディーに大規模に実施できる手段としてのイベントに期待を持っている。
三番目は、「イベントの社会教育機能」である。リーダー不在、いじめ、ひきこもり、自殺大国等々、世の中が成熟期から衰退期に向かう兆候が随所に見られる。そのような時代状況の中で、イベントには、テーマもしくは目的次第で人々の心を繋ぐ力、繋ぎとめる力が内在している。プライベートなイベントから大規模なイベントに至るまで、スタートからゴールに至るプロセスは共通している。イベントに参加することで自らの役割への認識に目覚め、周りの人々とのかねあい・距離感を体得するチャンスが生まれる。かつては地域社会の中で培われた「まつり」が果たしていた社会教育的役割は、現代社会の中では「イベント」が担わなくてはならない時代になってきた。そのためには教育現場への「イベント教育」の浸透が急務だと思う。
四番目は、「イベントのマネジメント機能」のレベルアップ。イベントは、実施に至るまでは期間限定のプロジェクトチームとしてスタートする。プロジェクトリーダーが、お飾りではまずい。イベントでは、プロジェクトリーダーのことを、通常プロデューサーという言い方をするが、この力が弱い。全権を委任もしくは掌握していない名ばかりのプロデューサーが多い。メーカーが新製品開発に指名するプロジェクトリーダ一の権限の大きさとは、比較にならないほど立場が不安定だ。その理由の一つにプロデューサーの財務管理能力や資金調達能力、さらには人事管理能力まで含めた経営管理能力に問題があるからだ。これからのイベントプロデューサーは、マネジメント能力のレベルによって格付けが成される時代がやってくるに違いない。
以上、「近頃思うこと・勝手気ままに」でした。今後、リレー形式で会員の皆様方に紙面を提供していく予定。次回、バトンタッチして頂ける方、奮ってご参加下さい。
■Profile ■
宮木宗治 (みやき・むねはる)
イベント学会・理事。(社)日本イベント産業振興協会・調査研究本部長。1973年(株)博報堂入社。マーケティング業務を担当。1998年博報堂・事業カンパニー・事業マーケティング部長。2003年日本イベント産業振興協会へ出向。現在に至る。 |
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